これから一人暮らしをしていく皆さんは、「お金を上手く管理出来るか不安」、「他の人はどのように貯金をしているんだろう?」といった悩みをお持ちの人も多いのではないでしょうか。
貯金について真剣に考える機会はあっても、行動に移すとなると中々腰が上がらないもの。なぜなら、貯金はすぐに達成するものではなく、長期的に考えていかなければいけないものだからです。しかし、あらかじめ戦略を立てておくことで、貯金に対するイメージを持ったまま新生活を始められます。
この記事では、一人暮らし世帯が貯金していくために、どのようにしていけば良いかを解説します。
一人暮らしの平均貯蓄額は?
一人暮らしをしていくにあたって、一般的にどのくらい貯金出来ているのか、気になっていませんか?
令和4年に調査された一人暮らしの平均貯蓄額は、637万円です。この金額は、20~70代の貯蓄額となるため、働き続けていればいずれ辿り着くでしょう。
しかし、働き出して貯金がほとんど無い人からしたら、いまいちピンと来ない数字かもしれません。ここで二人世帯の平均貯蓄額を見ていくと1,563万円(金融広報中央委員会)で、一人暮らしの約2.5倍です。
一人暮らしと比べて、平均貯蓄額が単純に2倍になっていないことから、同棲すると貯金しやすいことがわかります。
一人暮らしで毎月いくら貯金したらいいのか?
一人暮らしと実家暮らしで支出の違いを比較
初めて一人暮らしをしていく人にまず知っておいてほしいことは、「一人暮らしと実家暮らしでは支出の項目に違いがある」という点です。実家にいると、毎月家にお金を出したりするものの、直接支払っているわけではないため、中々実態が掴めません。一人暮らしで発生する支出には、具体的に以下の項目があげられます。
- 家賃(平均 5万円)
- 光熱費、水道代(平均 7,674円)
- 食費(平均 3万5,801円)
- 通信費(平均 7,125円)
大体この金額を毎月払いながら、娯楽費やその他雑費、貯金に回していかなければなりません。それでは、毎月いくらほど貯金していけば良いのでしょうか?
収入別毎月貯金する金額の目安
収入に対する貯金の目安は、手取りの30%だといわれています。新入社員が手取りで受け取る額から、目安となる貯金額を以下の表に示しています。
収入 | 貯金額 |
18万円 | 5万4,000円 |
20万円 | 6万円 |
22万円 | 6万6,000円 |
24万円 | 7万2,000円 |
26万円 | 7万8,000円 |
入社したては、手元にお金が少ないため、上記の貯金額は参考程度に留めておくと上手くいきます。生活費とのバランスを見ながら、貯金額を設定していきましょう。
一人暮らしでも支出を抑える方法
貯金額の設定をしたら、次は支出を抑える方法について考えていきましょう。お金の力は恐ろしく、手元にあるとつい使ってしまうもの。安定した生活を送るには貯金が不可欠なため、支出を抑えるポイントをいくつか紹介します。
収入に見合った家賃にする
家賃の目安は月収の3分の1とされてきましたが、最近は物価や税金の高騰により、月収の4分の1がいいともいわれています。長い期間過ごすことになる家を選ぶとなると、こだわりたいポイントがいくつも生まれ、つい家賃が高くなってしまうなんてことも……。
そこで一人暮らしでも貯金をしたいあなたに、家賃を少しでも抑えるポイントをご紹介します。
- 築年数が長いものを選ぶ
- 希望の間取りより、狭い部屋を選ぶ
- 建物の構造は木造を選ぶ
- 駅からの距離が遠いところを選ぶ
これらのポイントから妥協できるものを選び、少しでも家賃を抑えていきましょう!
先取り貯金をする
先取り貯金とは、給料が入り次第貯金へ回すことをいい、ついお金を使いすぎてしまう癖がある人にはぴったりと言えます。この貯金方法のメリットは、毎月一定額の貯金を確実に行える点です。
先取り貯金にも様々な手段があります。
- 自動積立定期預金
- 社内預金
- 財形貯蓄
- 積立NISA
- iDeCo
以上のような手段の中から自分に合った貯金方法を選択しましょう。上記の中から少額で複数貯金先を作るのもおすすめです。
先取り貯金の設定金額を高くしすぎると、毎月の生活が苦しくなったり、モチベーションの低下に繋がったりします。長く続けるには、無理のない範囲で行い、定期的に見直すことが有効です。
貯金専用口座を開設する
貯金専用口座として、一定期間引き出せない「定期預金」の口座を開設すると、すぐに貯金を引き出しにくくなるため、すぐ貯金に手を出してしまう方におすすめです。
普通貯金と比べて金利の高さが魅力的であり、貯金専用口座を上手に活用していくには以下の方法があります。
- 銀行窓口やATMの数が多いものを選ぶ
- 利用手数料や振込手数料がかからないものを選ぶ
- 振替設定で貯金を自動化すると毎月の手間が省ける
貯金専用口座を作ると貯金が順調に進みますが、急な出費でお金が必要になった時に引き落とせないため、毎月いくら貯金していくかを考えてから口座を開設しましょう。
外食を減らす
外食を減らすことは貯金をしていく上で、よく問題になります。勤労者世帯の平均外食金額は、毎月12,000~15,000円(総務省統計局 家計調査)となっています。一人暮らしの食費平均金額は外食費込みで40,000円です。
つまり、毎月食費の3分の1ほど外食費で占めることになります。貯金をしていくのであれば支出を抑えられる対象となるので、ポイントを確認していきましょう。
- 外食する回数を決める
- 節約できた分から外食する
- 安い食材を大量に購入し、作り置きをしておく
- 調理の時間を取れない場合は、外食より総菜、冷凍食品、レトルト食品を活用
健康維持のためにも食費を抑えるのは好ましくないため、外食を控えながら上手にやりくりしていきましょう。
固定費は年間を通して考える
固定費に関して、どの家庭でも共通して発生する光熱費、通信費について説明します。
一人暮らしの1カ月にかかる固定費はおよそ10万円(家賃、光熱費、水道代、通信費)といわれています(e-Stat 家計調査)。固定費は毎月かかってくるため、節約できるところを見直していくと、より貯金がしやすくなってくるでしょう。
- 電気代は使用する時間帯によって、単価が変動するという点も考慮する(夜21時前後~朝8時前後の単価が安い)
- ガス代はお風呂の利用にあたって発生する金額の占める割合が大きいため、シャワーや湯船の温度設定を下げると効果的(併せて、湯船に溜めるお湯の量を減らす)
- 通信費は格安SIMに乗り換えると月々の支出を抑えられる(併せて、契約プランや使っていないサービスを見直す)
- サブスクリプションは1カ月当たり安く感じるが、年間を通して考えるとまとまったお金になってくる。本当に使っているかどうか定期的に見直す。
そもそもなぜ貯金をするのか?
貯金をする根底に、将来に対する漠然とした不安があると思います。まだ経験していない将来に、不安を覚えるのは当たり前のことです。
しかし、その不安を具体的に引き出すことで、「なぜ貯金をするのか?」が見えてくるので、ここでは将来に起こりえるイベントを見ていきましょう。
先に起こりうるイベントのため
多くの人は以下のイベントに備えて、貯金を行っているようです。
事故や病気に備えて
仕事をしているときに、事故や病気になると働けなくなることもあるため、収入を得られない状態が続きます。そうなると、生活費を支払えなくなるため、貯金をしていなければなりません。
一般的に、事故や病気になった場合は、3~6カ月分の貯金をしておけば大丈夫だといわれています。
また、働いていると社会保険(給料の約15%)に加入しており、けがや病気になったときに受けられる補償があるので、知っておくと安心するでしょう。
補償 | 補償内容 |
休業補償 | 仕事が原因でけがや病気になると受けられる 給与のおよそ6割を受け取れる 期間の上限なし |
傷病手当金 | 仕事以外が原因でけがや病気になると受けられる 給与のおよそ3分の2受け取れる 期間は長くて1年6カ月 |
会社の補償以外にも、「高額療養費制度」というものがあります。これは、医療費が高額になった場合、収入に応じて国が負担する制度です。この制度を利用すると医療費を大きく抑えられますが、国が補償していない残りは自己負担となるので、やはり貯金をしておくと安心できます。
結婚費用
社会人になると結婚を見据えて貯金をする人も多いようです。喜ばしいことですが、その反面お金もかなりかかるイベントとなってきます。結婚するにあたって、どういうものにいくらかかるのか見ていきましょう。
結婚費用の合計として、約500万円かかることが多いようです(リクルートのブライダル総研)。その内訳は、以下のようになっています。
婚約指輪 | 35.8万円 |
結婚指輪(二人分) | 26.1万円 |
両家顔合わせの費用 | 6.6万円 |
結納式の費用 | 16.6万円 |
挙式平均 | 300万円 |
新婚旅行 | 30~50万円 |
新生活費用 | 100万円 |
結婚費用を抑えるコツとして、以下4点があげられます。
- 結婚式は夏と冬にあげると費用を抑えられる(他の季節に比べると人気が低いため)
- 式費用は会費制にする
- お互い一人暮らしであれば同棲を始める(結婚を前提に付き合っていることが必須)
- 引っ越しの繁忙期を避けて同棲を始める(引っ越しの繁忙期は費用が高く設定されているため)
老後の費用
老後に必要な貯金は、高齢夫婦で2,000万円必要といわれています。「そんなに貯金しなければいけないの?」と驚く方は多いでしょう。では、なぜそのくらい必要になるのでしょうか?
高齢夫婦が、1カ月あたりに必要な生活費は約29万円(2019年)といわれています。年金は、22万円(2021年)毎月支給され、その差額約7万円を、貯金から支払わなくてはなりません。その数値を老後の年数で計算すると、約2,000万円必要になます。
これはあくまで生活に必要な費用であって、老後になって貯金がないと「ちょっとした贅沢ができない」「医療費を支払えない」「介護にかかる費用が支払えない」という問題も見えてきます。さらに、物価の上昇と年金受給額の低下も重なり、貯金の重要性がわかってくるのではないでしょうか?
目を背けずに今からコツコツと、無理のない貯金を始めておくことが大切です。
自分の趣味
貯金の話をするとつい暗くなってしまいますが、自分が楽しむために貯金する人もいるようです。自分の趣味のために毎月1~5万円使っている人が多いようで、通算で計算すると100万円以上500万円未満かけている人が多い傾向にありました。
収入があると、本格的に趣味へお金を使えるようになるため、上記のような金額になっているようです。それ以外にも、ストレス解消のために趣味に没頭する人も少なくありません。
貯金のために趣味を我慢すると、反動で衝動買いしてしまう可能性もあるため、適度にお金をかけることも覚えていきましょう。
まとめ
一人暮らしで貯金をしていけるか不安に感じていた人も、この記事を読んで、どのようにしていけばいいのかイメージできたのではないでしょうか?
収入を増やしていかない限り、貯金はもらえる給料からやりくりしていくしかありません。「計画的に貯金をしていく」という考えを忘れなければ、お金を使うのも悪いものではありません。
むしろ、その時にしか使えないお金の価値もあるので、しっかりと自分の中で決め事を作って、これからの人生を謳歌しましょう。