「介護をしてるけど、腰の痛みがなかなか良くならない……」
介護職をやっていると、どうしても腰痛のことで悩まされますよね。介護と聞いて腰痛がイメージされるように、介護職で腰痛に悩まされている人は少なくありません。
本記事では、介護歴8年の筆者が腰痛に対する予防法を解説していきます。また、腰痛の原因を探っていき、その対処法も解説するのであわせて確認しましょう。
最後まで読むことで、介護中に注意すべきポイントや腰痛になったときの対処法がわかり、腰痛に悩まされることがなくなりますので、ぜひ参考にしてください。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});介護職ができる腰痛予防法
介護職に腰痛はつきものですが、適切なアプローチをすると予防できます。そのために、腰痛に対する正しい知識を身につけましょう。
ここでは、介護中にできる腰痛予防法を解説するので、参考にしてください。
利用者の介護度に合わせた介助を行う
利用者の介護度に合わせて介助を行うと、腰痛になりにくくなります。そうすると、利用者にできる範囲で動いてもらい介助者の負担を減らせるからです。
介助中は、つい利用者のために尽くそうとしがちですが、それは自分の負担を増やしてしまいます。それどころか、そうすることで利用者の残存能力を失いかねません。
利用者がどこまで自分でできるかを見極め、必要に応じた介助を行いましょう。
ボディメカニクスを意識した介助を行う
ボディメカニクスを意識した介助にすると、腰痛予防につながります。それを意識するだけでエネルギー効率の良い介助法を身につけられるため、ぜひ介護職に覚えていただきたい方法です。
具体的には下記のような方法があります。
- 利用者の重心と介助者の重心を近づけることで、全身の筋肉を効率よく使う
- 重心を支持基底面内に収めた介助を行う
- 前かがみになる動作は、下肢筋力を活用できるようにしゃがんで行う
- 介助中に腰をひねらないようにする
- 介助中にてこの原理を用いる
利用者にとっても負担の少ない介助となるため、日常的にボディメカニクスを意識してみましょう。
介助量が多い利用者は2人がかりで行う
介助量が多い利用者に対しては、2人がかりで行うと腰痛予防になります。なぜなら、2人がかりで行うと1人あたりの負担軽減になるからです。
利用者の中には、全介助者のように1人では何もできない方もおり、予想以上に介助量が必要になることがあります。2人がかりで介助を行えば、介助者の身体的負担や注意する点を分担でき、作業効率も上がるでしょう。
勤務先の人数に余裕があれば、介助量が多い利用者は2人がかりの介助がおすすめです。
福祉用具を活用する
福祉用具を活用すると、介助者の負担軽減になります。
以下のような場面があれば、福祉用具の活用を検討しましょう。
- 下肢筋力低下し、立位保持困難な利用者を移乗する場面ならスライディングボード
- 寝たきりの利用者をベッド上で平行移動する場面ならスライディングシート
- 大柄で寝たきりの利用者で、スライディングボードでの移乗が困難な場面なら移動用リフト
福祉用具は、介護保険でのレンタルや自費購入など、さまざまな方法で導入が可能です。金銭的に余裕があれば、福祉用具の導入を検討しましょう。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});介護歴8年の筆者おすすめ|簡単腰痛予防ストレッチ5選
腰痛に対する予防法を知っていても、日常的な疲労は蓄積していくもの。体力や筋力も大事ですが、腰痛になりやすい体になっているかどうかも、チェックすべきポイントです。
関節の位置関係は、筋肉によって調整されています。疲労の蓄積や姿勢の癖によって、その位置関係が崩れることで腰痛になってしまうのです。
ここでは、腰痛予防のために筆者がおすすめするストレッチを解説しますので、参考にしてください。
背中
背中にこりを感じている人には、背中のストレッチがおすすめです。手順は以下の通り。
- 四つ這いになる
- 顔は正面を向く
- その姿勢のままお尻を後方へ動かす
- 3の姿勢を10秒キープして元に戻す
- 1〜4を3セット行う
腰
腰周りにこりを感じている人には、腰のストレッチがおすすめです。手順は以下の通り。
- 仰向けになる
- 両手、両足を広げ大の字になる
- 膝を伸ばしたまま、右足を左足の上に交差するように、体の向きを変える
- 3の動きに合わせて腰をひねる
- 4の姿勢を10秒キープして元に戻す
- 1〜5を3セット行う
- 一通り終わったら、反対の足も同様に行う
お尻
お尻にこりを感じている人には、お尻のストレッチがおすすめです。手順は以下の通り。
- 両足を伸ばして座る
- 両手は体が倒れないように、後方へ伸ばす
- 右足を左膝の上に乗せる
- 左膝を90°くらいまで曲げる
- 腰をゆっくり伸ばす
- 5の姿勢を10秒キープして元に戻す
- 1〜6を3セット行う
- 一通り終わったら、反対の足も同様に行う
前もも
前ももにこりを感じている人には、以下のストレッチがおすすめです。手順は以下の通り。
- 両足を伸ばして座る
- 右膝を曲げたまま、体をゆっくり後方へ倒す
- 前ももが痛くない範囲まで体を倒し、10秒キープする
- 1〜3を3セット行う
- 一通り終わったら、反対の足も同様に行う
ふくらはぎ
ふくらはぎにこりを感じている人には、以下のストレッチがおすすめです。手順は以下の通り。
- 壁の前に立ち
- 右足を後方にし、左足を前方にする
- 壁に両手をつき、前方へ体重をかけ、10秒キープする
- ふくらはぎを伸ばすとき、右足の膝を伸ばしておくとより効果的
- 1〜4を3セット行う
- 一通り終わったら、反対の足も行う
介護職|腰痛になる原因4選
介護は腰への負担がかかりやすいため、腰痛に悩まされている人は多々いるでしょう。腰痛にならないためには、原因を正しく理解し、正しい介助方法を身につけることが大事です。
また、腰痛になる原因を知っておくと心理的な負担も軽減できます。
ここでは、介護中の腰痛になる原因を解説しますので参考にしてください。
前かがみのまま介護をすることが多い
介護職は、介護中に前かがみにならざるを得ない状況があります。なぜなら、利用者は座っていたり、寝たきりになっていたりすることが多いからですね。
トイレ介助やパッド交換、入浴介助は日常的にあり、その日の利用者数によって、10回以上になることもあります。前かがみ姿勢の維持は、腰への負担が大きいため、できれば避けたい姿勢です。
介護の仕事は前かがみになる状況がよくあるため、介護職がしゃがんで下肢筋力も使った介助を心がけましょう。
介護をするためのスペース確保が出来ていない
介護をするスペースが十分に確保出来ていないと、腰痛の原因になります。介護技術に直接関係の無いように感じますが、これも腰痛予防のために必要な要素です。
居室やトイレで移乗する際、スペースが狭いと自分が方向転換しにくくなります。そのような状況だと介護職は、自分の姿勢を調整しながら介助しなければいけません。
また、介護職の視界不良にもつながり、利用者が手すりなどに体をぶつけてしまうリスクも生じます。
介護をするときは周囲の物を整理し、利用者と介護職が動きやすいスペースを確保しましょう。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});年齢や性別による体力的な問題
年齢や性別の差は、腰痛になりやすい原因です。男性介護職と比べて女性や中年以降の介護職は、どうしても体力や筋力で劣ってしまいがち。
女性介護職は利用者と体格差がほとんど無かったり、利用者より背丈も小さかったりします。中年以降の介護職は、基礎疾患や加齢による体力の低下が考えられるでしょう。
そのような状況下で介助を続けていると、疲労が蓄積しやすく腰痛につながります。
女性介護職や中年以降の介護職は、介護技術の向上や介護にあたる人数をかけながら、体力的な問題をカバーしましょう。
業務にストレスを感じている
腰痛の原因には、ストレスも関係があります。なぜなら、精神的に不安定だと脳機能が低下し、体はいつも通りに機能しなくなるからです。
脳機能の低下は血行不良にもつながり、腰痛の原因になります。
また、ストレスを抱えていると、注意すべき点への意識が薄れることで、腰痛になりやすい介助をしてしまうことも。
業務上のストレスは、こまめに解消できる環境を作っておきましょう。
腰痛になったときの対処法
ここでは、腰痛になったときの対処法について解説します。
腰痛になると体の動きは鈍り、仕事に集中できなくなります。そうした状況下で利用者の介助を行うと、思いがけない大事故につながるなんてことも。
そうならないために、腰痛になった場合は我慢せずに、これから紹介する方法を参考にしてください。
コルセットなどを活用しながら働く
腰痛になっても働き続けることを検討しているときは、コルセットを試してみましょう。
コルセットは市販でお手軽に入手でき、着脱も簡単なためおすすめです。コルセットを使用すると体幹筋の機能を補うため、動きが楽になります。
しかし、腰痛が治まった状態でコルセットを使用し続けると、体幹筋の機能低下につながるため注意が必要です。
痛みがあるときはコルセットをし、痛みが治まってきたら徐々にコルセットを外して体を動かしてみましょう。
入浴は浴槽に浸かり体を温める
腰痛になったら、浴槽で体を温めることもおすすめです。
腰痛になるとその部位の筋肉が固まり、血行不良につながります。血行不良を起こすと、その部位に栄養を運ぶことができず、症状が悪化することも。
そうした状況では、温熱による血行促進を行うと、血行不良を解消し腰痛軽減につながります。
腰痛が入浴動作に影響が少なければ、浴槽に浸かって体を温めましょう。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});整形外科を受診する
腰痛は、重大な病気が潜んでいることもあるため、下記症状が見られたら整形外科の受診を検討しましょう。
重篤な疾患 | 1カ月以上続き、夜間の安静時痛(寝返り除く) |
内科的疾患の精査(発熱、臓器の炎症、腹部大動脈瘤、腎症状、その他) | |
発熱、細菌感染 | |
重篤なヘルニア、狭窄症など | 馬尾神経圧迫症状(膀胱直腸障害) |
癌 | 50歳以上は癌 |
癌の既往 | |
体重減少 | |
骨折 | 脊椎の叩打痛(70歳以上は圧迫骨折の頻度高) |
外傷の既往 | |
ステロイド使用 |
上記の症状はレッドフラッグサインと呼ばれ、医師の診察と、鑑別診断のために画像検査が必要な項目となります。
悪化する場合もあるため、まだ症状が軽くても疑わしい場合は整形外科で精密検査しましょう。
まとめ|介護職に腰痛はつきもの!日頃からセルフケアを意識しましょう!
介護職はさまざまな要因から、腰痛になりやすい状況が多々あります。そうした中で働き続けると、腰痛になるリスクは上がる一方。
腰痛になると治るまで、仕事がしづらくなることでストレスが溜まり、腰痛が悪化するという悪循環にもなりかねません。
しかし、今回解説した予防法や対処法を実践し、腰痛を正しく理解すると、そのリスクを下げられます。
予防法は以下の通り。
- 利用者がどこまでできるかを見極めてから、介護度に合わせた介助を行う
- ボディメカニクスを意識した介助で、介護職と利用者の負担を減らす
- 介助量が多い利用者は2人がかりで行い、1人あたりの負担を減らす
- 福祉用具を活用する
対処法は以下の通り。
- 痛みの度合いに応じて、コルセットを使いながら働く
- 入浴は浴槽に浸かり、腰を温める
- レッドフラッグに当てはまったら、整形外科を受診する
日頃からのセルフケアを意識して、腰痛に悩まされない生活を手に入れてください
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});