「引越しのアルバイトに興味があるけど、具体的にどんな内容なのだろう」
「日給が高いとは聞くけど、やはりきつい仕事なのだろうか……」
筆者も引越しのアルバイトを始める前は、同じような疑問を抱えていました。
今回は、引越しのアルバイトを3年間経験した筆者が、仕事内容やきついと言われている理由など実体験を踏まえて解説します。
この記事を読めば引越しアルバイトの仕事内容や向いている人の特徴がわかり、不安を感じることなく引越しアルバイトに挑戦できますので、ぜひ最後までお読みください。
引越しアルバイトの仕事内容
ここでは、引越しアルバイトで行う具体的な業務について解説します。
以下の3つが一般的な業務としてあげられます。
引越し会社によって、一般家庭の引越しを専門にしていたり、企業や店舗などの法人を担当していたりする場合もありますが、主な業務に違いはありません。
それではひとつずつ見ていきましょう。
荷物の運搬
荷物の運搬とは、お客様の荷物を元の家から新居まで運ぶことです。
段ボールなどの小さな荷物から、家具や家電などの大きな荷物まで、基本的に契約の時点で決まっているものはすべて運び出します。
小さなものに関しては1人で運びますが、大きな家具や家電は複数人で運ぶことが一般的です。
また、運ぶ作業をする前には、壁を守るために養生シートを貼り付けたり、床を保護するために養生マットを敷いたりする作業もあります。
養生をすることで、万が一荷物がぶつかってしまっても傷がつきにくくなるので、依頼者に安心してもらったうえで作業ができます。
荷物の運搬には運ぶための力も必要ですが、荷物や家を傷つけないように運ぶ慎重さも大切です。
家具や家電の梱包
段ボールへの梱包や、段ボールに入らない大きな家具や家電の梱包も仕事のひとつです。
段ボールへの梱包はお客様自身で行うか、梱包専門スタッフが引越し日より前に作業します。
運搬スタッフは基本的に当日に出す家具や、家電などの大きな荷物の梱包を担当します。
家具や家電には、布と中綿、伸縮ゴムを使った「パット」と呼ばれるカバーを被せて、運ぶことが一般的です。
パットは、保護性を確保してくれるだけでなく、家具や家電に被せるだけなので、養生を使うよりも速く梱包できます。
お客様の大事な荷物に傷をつけないためにも、梱包は大事な作業です。
荷解き・解体・組み立て
引越しの業務として荷解きや家具の解体、組み立てをする場合もあります。
家具の解体や組み立ては、細かい作業が必要なため、ほとんどの場合社員やチームリーダーが担当します。
しかし、アルバイトでもネジをはめるだけの簡単な組み立てや、荷解きを任されることがあるので、その際はとくに慎重に扱うようにしましょう。
基本的に家具の解体や組み立ては、そのままの形だと玄関や窓から出せないものに対して行われます。
たとえば、キングサイズやクイーンサイズのベッド、大きめのデスクなどは解体して運び出すことがほとんどです。
荷解きや解体、組み立ての段階でお客様の荷物を壊してしまえば、そこまで進めてきた引越しが水の泡です。
お客様の荷物は最後まで丁寧に扱うようにしましょう。
引越しアルバイトがきついと言われる3つの理由
「引越しのアルバイトは高収入だけどきついイメージがあるな……」
このように考えている方は非常に多いでしょう。
引越しのアルバイトがきついとされている理由として、以下の3つを紹介します。
順に説明していきます。
1.身体的な負担が大きい
引越しの作業は、荷物を運ぶために全身を使うため、身体への負担が非常に大きくなります。
たとえば容量が500L以上である4人〜5人用の大型冷蔵庫は、100kg〜120kgの重さがあります。
洗濯容量12kgのドラム式洗濯機の場合、最大90kgと非常に重たいのです。
また、場所によってはエレベーターがないこともあります。
エレベーターの設置義務である、高さ31mに及ばない団地やアパートは5階でも階段しか使えません。
エレベーターがあるときと違い、階段の場合は部屋の前まで台車を使うことができないので、2人がかりで地上から部屋まで運ぶ必要があります。
アルバイトをはじめたての頃は筋肉痛が続いて辛いと感じるでしょうが、定期的に引越しで筋肉を使っていれば筋損傷が起こりにくくなるため、身体が慣れていきます。
参照:株式会社タニタ 筋肉痛とは?起こりやすい動きと対処法について
継続的に引越しのアルバイトをすることで、体力的に辛い時期を乗り越えましょう。
2.1日のスケジュールがタイト
引越しは、1日に複数の家を回ることがほとんどのため、朝から晩まで引越しのスケジュールで埋まっている場合が多いでしょう。
とくに春や秋など、季節の変わり目は引越しの繁忙期となるため、1日に3件〜5件回ることもあります。
また、引越しは天候に関係なく実施されます。
たとえば台風で雨風が強い日であっても、ゆっくり進めていては後のお客様に迷惑がかかるので、スケジュールを意識して動く必要があるのです。
ただ、スケジュールが詰まっていても、トラックでの移動時間は休憩になるので、過度に心配する必要はありません。
移動時間でうまく休憩して、過密なスケジュールを乗り越えましょう。
3.人間関係
社員や他のバイトとの人間関係も、引越しのアルバイトがきついと言われている原因です。
引越しは、基本2人か3人の1チームで仕事をするので、苦手な人と同じチームだった場合、その日は一緒に働かなければいけません。
また、体育会系の仕事ということもあり、きつい言い方で怒られたりすることもあるでしょう。
ただ、お客様に迷惑をかけないために、「指導」の意味合いで怒ることは当然あります。
問題なのは、まじめに仕事をしていても一方的に嫌味や暴言を言ってくる場合です。
このような場合は、チームのメンバーを決めている上司に相談してみましょう。
まじめに仕事に取り組むことで、人間関係も良好にしていきましょう。
引越しのアルバイトをするメリット
引越しのアルバイトをすることで多くのメリットがありますので紹介します。
ひとつずつ解説していきます。
給料が高い
引越しのアルバイトは、他の仕事に比べて給料が高い傾向にあります。
理由は、体力を必要とする仕事であることと、繁忙期にアルバイトの需要が高まることです。
引越しの繁忙期である3月〜4月の間は、学生が春休み期間中であることと、応募数を増やすために日給を上げる会社も多いことから、短期で大きな金額を稼ぎたい学生の応募が集中します。
また、繁忙期でなくても日給が1万円以上で設定されている会社も多く、残業代も追加されると他のアルバイトより多くの収入を得ることが可能です。
自分の都合にあわせて働きながら高収入を得られることは、大きなメリットです。
お客様からお礼をいただけることもある
必ずではありませんが、仕事始めや終わりの際に、飲み物や食べ物、お金などをお客様にいただける機会も多くありました。
実際に筆者の経験だと、ご祝儀として1回のお仕事で1万円いただいたこともあります。
引越しの代金を依頼会社へ払っているにもかかわらず、現場のスタッフにまで気をつかっていただけることは、本当にうれしいことです。
ご祝儀やお礼の品をいただけるアルバイト自体が少ないので、非常に貴重な経験となるはずです。
お客様からお礼をいただけることは、ひとつの大きなやりがいにつながるでしょう。
コミュニケーション力が身につく
引越しは基本的にチームで動くことが多いため、作業のなかでコミュニケーション力が鍛えられます。
アルバイトの場合、引越しを1人ですることはほとんどありません。
必ず誰かとチームになって作業するので、連携をとる機会は非常に多いでしょう。
たとえば、家に入って実際の荷物を見たときにどの荷物から運ぶか、チームのメンバーで相談することはよくあります。
また、冷蔵庫や洗濯機などの大きな荷物を階段で運ぶときは、お互いに声を掛け合わないと大きな怪我につながる恐れもあります。
他のスタッフやお客様など、さまざまな人と関わることでコミュニケーション力を養っていきましょう。
単純作業が多い
引越しには大変な作業は多いですが、難しい作業はそこまで多くありません。
引越しは、冷蔵庫や洗濯機、タンスなどの大きな荷物を運ぶため、体力的には大変な仕事です。
ただ、「包む」「詰める」「運ぶ」など、ひとつひとつは単純な作業しかありません。
単純な作業が多いため仕事に慣れてくると、頭で考える前に体が勝手に動いていると話すスタッフもいました。
頭より先に体が動くようになれば、アルバイトとしては一人前といえるのでしょう。
また、家具の解体など技術が必要なものに関しては、社員やチームリーダーが行うので安心してください。
引越しは、初心者でも安心して取り組めるほど単純な作業が多いのです。
自然に体が鍛えられる
引越しでは重いものを運ぶため、自然に体も鍛えられます。
引越しの作業を想像すると、腕や肩周りが鍛えられるイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
しかし、引越しでは想像以上に全身の筋肉を使っています。
重いものを持ち上げるときは、腕の筋肉以外に背中にある「広背筋」やお腹の「腹筋」、お尻にある「大臀筋」など全身の筋肉を使う必要があります。
意識的に動かさなくても、自然に全身の筋肉を使うことになるということですね!
医学的に筋肉は48時間〜72時間かけて徐々に回復するとされています。
ただし、筋肉が回復しきる前に大きな負荷をかけてしまうと、筋肉の組織が破壊され、怪我につながる恐れがあります。
シフトを入れる際は、この点も注意するようにしてください。
無理しない程度に、仕事のなかで体を鍛えていきましょう。
引越しアルバイトに向いている人の特徴3選
引越しのアルバイトに向いている人は、どのような特徴を持った人なのでしょうか。
ここでは、特徴を以下の3つにまとめて紹介します。
順に解説していきます。
効率よく仕事に取り組める人
効率よく仕事に取り組める人とは、物事の優先順位を決めたうえで常に先の作業について考えられる人です。
優先順位を決めたうえで先の作業を考えて動けると、待ち時間が発生せず作業に滞りが生じないため、大幅な遅れが起きにくくなります。
1日に複数件の現場を掛け持ちすることも多い引越しの現場では、効率を考えて仕事をしないと、お客様を待たせることにつながるのです。
たとえば、洗濯機業者が新居で待機している場合、洗濯機を最初にトラックからおろす必要があるため、積むときは1番最後にトラックの手前側に積みます。
夕方からはじまる引越しであれば、新居に荷物を下ろすときは周囲が暗いことも予想されるので、照明器具は1番最初に運べるよう手前側に積みます。
効率よく仕事に取り組める人は、お客様からもチームのメンバーからも信頼されるでしょう。
人とのコミュニケーションが嫌ではない人
人とのコミュニケーションを極端に嫌っていない人とは、社会的な日常会話ができる人を指します。
社会的な日常会話ができる人とは、相手の言うことを最後まで聞いて正しく理解し、伝えたいことをわかりやすく伝えられる人です。
引越しはお客様やスタッフと会話をする機会も多いため、社会的な日常会話ができることは必須です。
社員や他のアルバイトに指示されたことを最後まで聞いても、全くわからないということもあるでしょう。
その場合は、自分の言葉で「わからない」という旨をはっきり伝える必要があります。
ただし、コミュニケーションが得意である必要はありません。
最低限のマナーや協調性があり、相手の言葉を理解し自分の言葉で伝える力を身につけていれば、過度なコミュニケーションをとらなくても仕事はできます。
コミュニケーションが嫌いではないという人は、引越しのアルバイトに向いているでしょう。
体力・筋力に自信がある人
体力・筋力に自信がある人とは、普段から運動する習慣がある人のことです。
普段から体を動かす習慣がある人は、筋肉の毛細血管が発達しているため、多少の筋損傷であれば修復がすぐに進み、筋肉痛の期間が短くなると考えられています。
引越しのアルバイトで1番辛い時期は、はじめたての頃です。
重い荷物を持ったまま、階段の上り下りを繰り返すことは想像以上に過酷ですが、体を動かす習慣があれば筋肉痛の期間も短くなり、辛い時期も乗り越えやすくなります。
ただし、飛び抜けた体力や筋力は必要ありません。
筆者もそうですが、社員の方でも体力や筋肉がとくにすごいという方はあまりいませんでした。
体力・筋力に自信がある人は、引越しのアルバイトに挑戦してみてください。
筆者が引越しアルバイトをしてよかったと思う出来事
ここでは、引越しのアルバイトを3年経験した筆者が、実際に経験してよかったと思う出来事を紹介します。
経験談は以下の3つです。
では順に紹介していきます。
1人1万円ずつのご祝儀
筆者は1人のお客様から、ご祝儀だけで1万円をいただいたことがあります。
引越しを担当したスタッフに、ご祝儀や飲食物を渡さなければいけないという決まりはありません。
お客様のご好意でいただくものだからこそ、1万円のご祝儀は嬉しさ以上に驚いたことを覚えています。
そのお客様は車椅子の方で、引越しをする日は同居人の方も不在でした。
そのため、家具や家電の傷を確認していただきたいときは、リビングにいるお客様のもとに運び、確認いただいてからトラックに搬入していました。
引越しスタッフとして傷の確認をしていただくことは当たり前の作業ですが、この行動がお客様の心に響きご祝儀をいただけたようです!
ご祝儀をいただけたことに加え、「ひとつひとつ丁寧にお仕事してくださり、ありがとうございました」と、感謝の言葉をいただけたことも非常に嬉しく感じました。
トラックでお話ししているだけで日給1万円
引越しはトラックでの移動時間にも、給料が発生していると再認識した日がありました。
その日の1件目が、千葉県から山梨県に移動するお客様の引越しでしたが、同棲先に大体の家具があるため、洗濯機だけを運んでほしいという方でした。
朝一番に千葉県の家に洗濯機を回収に行き、トラックで山梨県に向かいます。
しかし、この日はお盆休みの期間で高速道路も渋滞しており、山梨県の家に着くまでに5時間以上かかりました。
結局帰りも同じくらい時間がかかったので、他の引越しには行けず、ほとんど移動時間だけで日給1万円を獲得しました!
移動時間に給料が発生するアルバイトは多くありません。
改めて引越しをはじめてよかったと感じた日でした。
厳しい社員に認められる
引越し業界には厳しい人もいるからこそ、「人から認められた」ときの喜びは格別です。
筆者の働いていた会社には、社内で「鉄仮面」と恐れられる社員の方がいらっしゃいました。
その方は引越し歴が20年を超えており、トラックのなかでもあまり喋らないことから、数々のアルバイトから怖がられていました。
その方とは入社したてのとき一緒に仕事をして以来、しばらく一緒のチームにはなっていませんでした。
その日は、一緒に仕事することが決まっていたので、いつも以上に気合を入れて仕事に取り組みました。
なんとか無事に仕事を終えて、事務所で後片付けをしている際に、厳しい社員の方が「お前も成長したな」と呟くように言ってくださったのです。
いつもまじめに仕事に取り組んでいれば、見ていてくれる人は必ずいます。
引越しを通して、徐々に周囲の人に認められる喜びを感じていきましょう。
引越しアルバイトに関するQ&A
引越しのアルバイトに関する質問をまとめました。
それでは、ひとつずつ回答していきます。
引越しアルバイトで高収入を手に入れよう!
ここまで、引越しアルバイトの仕事内容についてまとめました。
引越しは重労働で大変な仕事ですが、その分報酬も高くお客様から感謝されやすいため、やりがいが大きい仕事です。
筆者も引越しのアルバイトを通して、周りと連携をとりながら動く大切さや、効率的に働くことの重要さについて学べましたので、収入の面以外でもおすすめします!
短期集中の引越しアルバイトで高収入を手に入れましょう!