小学校への進学を控えているお子さんや保護者の方は、「楽しみ」や「喜び」といった感情がありつつ、「不安」も感じているのではないでしょうか。
その不安要素の1つになりうるのが「小1の壁」です。
働く保護者の方であれば特に、1度は耳にしたことがあるかと思います。

聞いたことはあるけどよく知らない

大変って聞いたけど、どんなことが大変なの?
「壁」と聞いたら心配になりますよね。
私も我が子の進学前は不安でした…
本記事では現役小学生の母親でもある筆者が、「小1の壁」と言われる要因や、事前にできる対策などを解説します。
事前に「壁」となる要因をしっかりと把握し対策しておくことで、進学後のストレスや戸惑いを減らせるでしょう。
ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてください。
小1の壁とは|主な要因4選
そもそも「小1の壁」とは、お子さんを保育園に預けていた時と比べて、小学校に進学すると「仕事」と「子育て」の両立が難しくなる状況をいいます。
そしてお子さんにとっても、生活リズムや環境の変化によりストレスを感じる、といった「壁」が生じることも。
これらにはさまざまな要因が挙げられますが、本項目では保護者の方に立ちはだかる「壁」となる主な要因を、4点にしぼってお伝えします。
順番に見ていきましょう。
①預けられる時間が短くなる
これまでお子さんを保育園に預けていた時と比べると、進学後は預けられる時間が短くなります。
一般的な保育園ですと、7時〜7時半頃には開園し、延長保育も含めると19時〜20時頃まで預けられますよね。
対して小学校は地域にもよりますが、8時前後に登校し、15時前後には下校します。
学童に預けられたとしても、基本的に18時〜19時には閉所するところがほとんどです。
つまり保育園に預けていたときと同じような勤務時間ですと、「保護者の方の出勤時間よりも遅くに登校する」「保護者の方の帰宅時間よりも早くに下校する」という状況が起こります。
つい最近まで保育園児だったお子さんに「鍵を持たせるのか」「ひとりで留守番ができるのか」という問題に直面します。
②短時間勤務制度が終了する
2つ目の「壁」は、短時間勤務制度(時短勤務)が終了することです。
もともとこちらは「子が3歳未満の方が利用できる制度」ですが、「小学校就学前まで」と定めている企業も多くあるようです。
フルタイム勤務に戻さなければならなくなり、お子さんの帰宅やお迎えの時間に遅れてしまうという問題が起こります。
③長期休暇がある
一般的な保育園では年末年始の期間を除き、春休みや夏休みなどの長期休暇はありません。
働く保護者の方に合わせて、通常通り預けられますよね。
しかし小学校には、3学期制であれば春休み・夏休み・冬休みがあります。
特に夏休みは1ヶ月近くと、長めに設けられていることがほとんどでしょう。
つまり「ひとりで留守番するのか」「学童や習い事に行くのか」「祖父母の家に預けるのか」など、保護者の方が仕事で不在の間をどのように過ごすのかが悩みどころです。
学童に通わせる場合は、お弁当が必要なところも多くあります。毎日のお弁当作りが負担となるご家庭も多いでしょう。
④宿題や持ち物の確認などフォローが必要になる
小学校で始まるのが「宿題」です。
学童で済ませたり、ひとりでできることもありますが、低学年の間は特に「音読を聞く」「丸つけをする」といった、保護者の方の手が必要な場合が多くあります。
そして日々の「教科書」や「筆記用具」、週明けの「体育着」や「上履き」など持ち物も日によって変わります。
お子さん自身で用意はしても、慣れないうちは抜けてしまいがちですので、一緒に確認する時間を設けたいところです。
しかし「帰宅後から寝る時間までは忙しく、ゆっくりと向き合えない」という問題を抱えるご家庭も少なくないでしょう。
小1の壁|主な対策4選
どのような対策をすれば、「小1の壁」を乗り越えられるのでしょうか。
保護者の方ができる主な対策を4つ、ご紹介します。
1つずつ見ていきましょう。
①働き方を見直す
今回進学するタイミングで、保護者の方の勤務体制を見直しましょう。
現在の職場を続けるのであれば
・短時間勤務制度の延長
・時差出勤
・在宅ワーク(全日でなくても)
・部署異動
・パートに変更
など、候補はいくつか挙がるかと思います。
「前例はなかったが対応してもらえた」という声もありますので、1度上司や上役の方に相談してみましょう。
改善策が出ない場合、簡単なことではありませんが転職するのもひとつの手です。
お子さんのためだけではなく、保護者の方の夢やキャリアを諦めずに済む方法を、ぜひ見つけてください。
②学童保育を利用する
放課後にお子さんを預かってもらえる場所といえば、「学童」ですよね。
正式名称は「放課後児童健全育成事業」といい、「公立学童」と「民間学童」の2つに分類されます。
「公立学童」は、市町村や教育委員会が運営し、学校や近隣の施設を使用します。
同じ学校に通っている友だちと遊べたり、低料金で利用できることがメリットです。
閉所時間はほとんどの場合18時〜19時で、時間によってはお迎えが必須になります。
対して「民間学童」は、個人や法人によって運営され、ほとんどの場合が学校以外の場所に設置されています。
利用料金は公立学童と比べると、高く設定されている場合が多いでしょう。遅い時間まで利用できたり、習い事のように「スポーツ」「アート」「音楽」「工作」などさまざまなプログラムを経験できることがメリットです。
ご家庭の状況や予算、お子さんのニーズなどに合わせて選択すると良いでしょう。
③国や自治体のサービスを利用する
自治体がおこなっているサービスの1つに、「ファミリー・サポート・センター事業」というものがあります。
育児の援助を受けたい人と援助をおこないたい人をマッチングさせる会員制のサービスで、緊急時の預かりや送迎などを依頼できます。
料金は自治体にもよりますが1時間1,000円程度で、一般的なベビーシッターと比較すると安価で利用できるのが特徴です。
学童と併用するという方法も良いでしょう。
ぜひお住まいの地域で調べてみてください。
④習い事をする
家でひとりになってしまう時間に習い事をする、というのも検討してみましょう。
お子さんはやりたいことや好きなことを学びながらさまざまな能力を身に付けられ、学校以外での居場所もできます。
学童の迎えは間に合わないけれど、習い事の迎えなら間に合う、という場合もありますよね。
最近では送迎までしてもらえる所もありますし、お子さんのニーズやご家庭の予算などと相談しながら、上手に活用しましょう。
習い事を急に増やしすぎるとストレスや負担を感じる可能性があるので、注意が必要です。
小1の壁|子どもとできる事前準備4選
「小1の壁」を乗り越えるべきなのは、大人だけではありません。
お子さんにとっても「初めての場所」「初対面の先生」「授業を受ける」「保護者の方の送迎なしで登下校する」といった環境や生活リズムの変化が多くあります。
急激な変化に負担を感じると、学校に行きたくなくなってしまうことも。
しかし事前に準備しておけば、進学時の戸惑いをある程度減らせることでしょう。
楽しく小学校に通えるための事前準備を、4点お伝えします。
ぜひ親子で取り入れてみてください。
①登下校のルートやルールの確認をする
まずはお子さんと一緒に、通学路を歩いてみましょう。
信号や横断歩道の渡り方、曲がる箇所の確認などをします。
改めて歩くことで、危険な箇所に気付くこともあるでしょう。
すでに慣れ親しんだ地域だとさまざまな道を通りたくなりますが、何かあった時のためにルートの固定をしておくと良いでしょう。
そして地域や小学校によっては「グループ登校」があります。
上級生と一緒に登校できるので安心ですね。
「グループ登校」であれば集合時間や集合場所などのルールがあるので、お子さんと一緒に確認しておきましょう。
②ひとりで身支度ができるようにする
たいていの身支度がお子さんひとりでできるように、練習しておきましょう。
「着替えの準備」から、「歯みがき」や「持ち物の確認」など、保護者の方がおこなっていた身支度はいくつもあったかと思います。
時間がないとついつい手を貸してしまいますよね。
自分でできるようになればその分保護者の方の手があき、忙しい朝の時間に別のことができます。
始めは今まで以上に時間がかかることもあるので、進学前の時間がある時に少しずつ練習してみてください。
③学校生活の流れを確認する
進学後は「どの時間」に「何をするのか」といった生活の流れを把握するため、登下校や授業の時間などを調べてみましょう。
保育園と比べると小学校の生活リズムは大幅に変わります。
学校生活の時間が分かれば、登校するまでの身支度や下校後の動き、夜寝るまでの流れがイメージしやすいでしょう。
具体的に身支度の順番や宿題をする時間帯などを決めたり、お子さんが自ら動けるような話し合いや動線作りをしてみてください。
・時計に目印を付けたりしてアナログ時計に慣れておく
・朝のやることリストを作ってみる
・学校で必要なものを1か所にまとめる
というのもおすすめですよ。
④学校が楽しみになる話をする
1番重要とも言えるのが、「学校は楽しいところなんだ」とワクワクするような話をすることです。
「勉強ばかりで大変」
「怖い先生がいるかも」
と、無意識のうちに学校に対するネガティブな発言をしていませんか。
軽い気持ちで言ったことでもお子さんにとってはその印象がついてしまい、学校に行きたくなくなってしまうことも。
「友だちがたくさんいるところ」
「新しいことを学べる場所」
など、学校に行くのが楽しみになるような話を、ぜひしてみてください。
まとめ|親子で「小1の壁」を乗り越えて進学後も楽しく過ごそう
「小1の壁」となる主な要因や、事前にできる対策について解説しました。
働く保護者の方にとって大きな「壁」かもしれませんが、情報収集や対策などを早い段階からおこなうことで乗り越えやすくなります。
そしてそれはお子さんにとっても同じですね。進学時に環境ががらりと変わらずに済むよう「心の準備」をしておきましょう。
お子さんは笑顔で学校生活を送り、保護者の方は穏やかな気持ちで成長を見守れるよう、ぜひご活用ください。