「地震が来たときに備えて用意をしておくといいと聞くけど、何を用意しておいたらいいのか分からない」
「子どもに避難方法を教えるポイントってあるの?」
このような悩みをもっていませんか。
予測不能な災害の多い日本だからこそ、いつ、どのような事態になっても対応できる準備はしておきたいですよね。
慌てずに避難できる備えが大切だなと、筆者も悲しい災害ニュースを見るたびに感じます。
本記事では、子どもだけの状況で地震が起きた際の対策と事前の備えについて解説します。
地震が発生した際に、保護者が子どもに伝えておくポイントを理解でき、子どもが慌てず対応できるよう伝えられますので、最後までぜひお読みください。
地震発生時の状況別対策|子どもだけの場合
地震が発生した場合、子どもがまずとるべき行動は身を守ることです。
日中は家族が仕事などで不在のことも多いため、子どもだけで過ごす場合もあります。その場合、子どもだけで動かざるを得ない状況になる可能性がでてきます。まずは自分の身を守れるよう、子どもに伝えておくことがポイントです。
地震発生時の対応は、家にいるのか、外にいるのかで変わってきます。
いつどこで地震が起きても、子どもが慌てず、安全を優先して行動できるように伝えることが必要です。それぞれの状況に合わせた行動を解説していきます。
自宅にいるとき
自宅内で揺れを感じたら、すぐにテーブルや机の下に隠れ、「頭を守るために」ダンゴムシのポーズをとってください。
ダンゴムシのポーズとは、しゃがみながら身体を小さくし、手で頭を守るポーズです。隠れる場所がない場合は、クッションや座布団などで頭を隠し、ダンゴムシのポーズをとる方法があります。
参照:ダンゴムシのポーズ & サルのポーズ 大地震から命を守るために!
自宅内で地震が発生したとき、ダンゴムシのポーズをとる以外に取るべき行動は以下の3点です。
- 高さのある家具が近くにあるときは離れる
- 窓やキッチンではガラス製品による破片でケガの恐れがあるためスリッパを履いて移動する
- トイレにいる場合は、地震が落ち着いたときに逃げられるよう扉を開けておく
普段から、自宅内で安全確保できる場所を確認しておくことも地震対策です。
自宅の中で揺れを感じたら、まずは自分の身を守り、安全確認・確保しましょう。
外にいるとき
揺れを感じたタイミングで外にいる場合は、室内にいるときと同様、「頭を守ることが最優先」です。
普段何気なく歩いているルートも、地震により危険なルートになる場合があります。道幅が狭くなっている箇所や高さのある塀・電柱などが近くにある場合は特に注意を必要とします。
もし学校から帰る途中に地震が発生した場合は、高さがある危険な場所から離れてください。電柱・ブロック塀・信号機などが倒れてくる場合もあるため、ランドセルやバッグで頭を守りましょう。
広場や公園は、住宅地や市街地と比較して安全な場所です。近くにある場合は広場や公園に避難し、身の安全を確保するようにしましょう。
揺れを感じたら高さがある物から離れ、安全な場所へ避難し頭を守るよう心がけましょう。
エレベーターに乗っているとき
エレベーターに乗っているときに避けるべき行動は、「慌てて非常停止ボタンを押さない」「無理矢理ドアを開けない」ことです。
エレベーターは強い揺れを感じると、最寄りの階で緊急停止するシステムになっています。
非常停止ボタンを押すと、最寄りの階で止まる前に停止してしまいます。
その状態で、ドアを無理矢理開けると、エレベーターが昇降する空間に落下する恐れがありますので注意が必要です。
緊急停止したエレベーターの中に閉じ込められた場合にするべき行動は、まずはインターホンを使って外部と連絡をとることです。
非常用通話ボタンを5秒以上押し続けると、外部と通話ができるようになります。
非常用通話ボタンが使用できない場合は、非常用ホイッスルの使用がおすすめです。ホイッスルを吹くと自分がエレベーター内にいることを店員や警備員の人に知らせることができます。
100円均一で手軽に購入でき、緊急連絡先を記載できるメモが収納できる物もあるため、用意しておくと役に立ちます。
エレベーター内で揺れを感じたら、まずは慌てずエレベーターが停止するのを待ってから行動しましょう。
IDカード付非常用呼子笛 110円(税込)
近くに川・海があるとき
川や海の近くで揺れを感じた場合は、津波の被害に遭う恐れがあります。身の安全を確保するために、揺れが落ち着き次第、川や海から離れてください。
津波は数分から数時間の間に発生する恐れがあり、津波は1度きりではなく、複数回押し寄せる場合があります。
実際に2011年3月11日に発生した東日本大震災では、小学校の近くにあった川が氾濫し、地上から高さ8メートル以上ある津波が押し寄せました。
(参照資料1:内閣府情報のページ過去の災害に学ぶ 特別編)
(参照資料2:小さな命の意味を考える会)
この高さは、小学校の2階天井に達していました。学校の裏に山があったものの逃げ遅れたことにより、在校生と職員は津波の被害に遭っています。
このように、地震を感じたときは揺れが落ち着き次第その場を離れ、できる限り高い場所へ避難することが、川や海の近くにいる場合に地震から身の安全を確保する方法です。
避難に備える子ども用の災害時リュックを用意しましょう
避難する際に持ち出す物は事前にまとめておきましょう。
なぜなら、地震が発生してから避難するときに1から用意を始めると逃げ遅れてしまう可能性があり、二次災害に遭う場合があるためです。
定番の非常食・飲料水の他に非常用のリュックを用意し、子どもでも分かりやすく・とりやすい場所に設置しておきましょう。
避難するときや避難先で慌てないよう、事前に必要な物を用意しておくことが重要です。
子どもの持ち物リスト
子ども用災害時リュックの中身は、子どもの成長とともに嗜好品の種類や量・趣味が変化します。
一人ひとりに合わせて用意しておくことで、慣れない避難場所でストレスの軽減ができます。
必要最低限の物を用意するとき役立つのが「子どもにやさしい非常持ち出し袋チェックリスト」です。
チェックリストを参考にすると、迷わずに必要最低限の物を用意できます。子どもと一緒に用意をすると、地震に対する備えの勉強にもなります。
参照:savechildren「子どもにやさしい非常持ち出し袋チェックリスト」
子ども用災害時リュックの準備は地震対策の意識付けやシミュレーションをするきっかけにつながるため、子どもと一緒に用意することをおすすめします。
持ち物を選ぶ際の注意点
子ども用災害時リュックの中身を多く用意することで、重さにより避難が遅れてしまうため注意が必要です。必要最低限の物の他に、普段から子どもが使い慣れた物を用意しましょう。
災害時に用意する量は、リュックで最低2~3日分、自宅に備えるのは約1週間分と言われています。
支援物資の到着やスーパーで買い物ができるまで期間が空くため、生活が続けられるよう事前に災害時リュックを備えることが必要です。
最低限必要な物の他に、愛用している物(ぬいぐるみ・おもちゃなど)、食べ慣れている物(好きなお菓子、飲み物など)の用意をおすすめします。
慣れない避難生活のため、普段以上にストレスを感じやすいです。ここで注意してほしいのは、子ども自身が災害時リュックを運ぶ想定の上で、用意することです。
多く物を入れてしまうと、運ぶときに重くなり避難に支障をきたす恐れがあります。
安全に避難するためにも、事前に備える子ども用災害時リュックは、必要最低限プラス子どもが安心できる物を用意するように気をつけましょう。
地震対策でおさえるべき3つのポイント
地震発生を想定して、事前に備えておく3つのポイントがあります。大きな地震の経験が少ない子どもだからこそ、シミュレーションを踏まえながら伝えると、イメージしやすくなります。
ポイントは以下の3つです。
- 災害時グッズの使用に慣れておく
- 家族で地震発生時の対応を話し合っておく
- 避難場所まで実際に歩いてみる
地震対策のために重要な3つのポイントについて詳しく説明していきます。
1.災害時グッズの使用に慣れておく
災害時グッズの中には、普段使う機会が少ない物もあるため、スムーズに使えるよう、慣れておくことがおすすめです。
地震により慌てている状態だと、普段使える物でさえも思うように使えなくなることがあります。用意していても、使えなければ持っている意味はありません。
必要時に困らないよう、定期的な使い方の確認と見直しが必要です。
使い慣れておくべき災害時グッズについてまとめてみました。
災害時グッズ | グッズの種類 |
---|---|
家電グッズ | 災害時用懐中電灯、ヘッドライト、ポータブル発電機など |
衛生グッズ | 簡易トイレ、自宅便座に設置する携帯トイレなど |
清潔保持グッズ | 紙石けん、歯みがき用のウェットティッシュなど |
また、災害時グッズに使い慣れておくだけでなく、非常食に食べ慣れておくこともおすすめします。
非常食は普段調理した物と味付けが違うため、子どもが食べるのを嫌がる場合があります。定期的に非常食の日を設け、食べ慣れておくようにしましょう。
災害時に慌てることがないよう、非常食や消耗品の賞味期限・使用期限を確認するタイミングで、災害時グッズの使用方法を見直すことが重要です。
2.家族で地震発生時の対応を話し合っておく
大きな地震の後は、通信機器の使用が難しくなるため、発生時を想定した対応について家族で話し合っておく必要があります。
家族で地震発生時の対応を相談することは、子ども自身が行動や手段を確認できる、地震対策の1つです。
話し合う内容として、自宅内で隠れる場所・外出時、災害に遭った場合の集合場所・安否確認の方法・避難時の持ち物などがあげられます。
避難時に、子どもだけの状況を想定した上で、近所の人に助けを求める方法や公衆電話の使用方法を一緒に練習しておくこともおすすめです。
避難のタイミングを判断する上で心配なときは、ガイドラインをヒントに話し合う方法もあります。
参照:内閣府防災情報のページ 避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月)
子どもを交えて、地震発生時の役割や対応について話し合いましょう。
3.避難場所まで実際に歩いてみる
災害時に子どもの安全を守るために事前に確認するべき点は、自宅や普段歩く道路から避難場所までのルートです。
普段何気なく歩いている場所でも、地震が来たときに危険と思われる場所があるため、事前にチェックしておくことが地震対策につながります。
実際に避難場所まで歩く際に、地震に備えてチェックしておくべきポイントをピックアップします。
- 自宅や通学ルートから近い避難場所を確認しておく
- 避難場所までのルートにある危険箇所を見つける
- 子ども自身が避難場所までのルートを覚える
- 防災マップに書き込み、オリジナルのマップを作って覚える
散歩をしながら地域の防災マップを確認し、避難場所まで歩く練習をしておくことで、もしものときに子どもが安全な場所へ移動できます。
安全に避難するために、子どもと一緒に防災マップを活用しながら、災害時に危険が回避できるルートをあらかじめ把握することが大切です。
地震発生後にやってはいけない行動
地震が起きたとき、「揺れが落ち着くのを待たずに行動」は絶対にやってはいけない行動です。
地震発生時は、頭がパニックになり冷静さを見失うこともあるため、落ち着いて行動しましょう。
最低限守ってほしいことは以下の4点です。
- 慌てて家から外へ飛び出さない
- 電気をすぐつけない
- 火をつけない
- 不要不急の連絡をしない
上記を参考にしながら、落ち着いて行動してください。
二次災害を防ぐためにも、闇雲に行動するのではなく、揺れが落ち着いてから身の安全を確保し、行動しましょう。
まとめ|もしもに備えてシミュレーションをしておこう
本記事では、子どもだけでいるときに地震発生を想定し、状況に合わせた対策・備えについてお伝えしました。
地震対策でおさえるべきポイントは3つです。
- 災害時グッズの使用に慣れておく
- 家族で地震発生時の対応を話し合っておく
- 避難場所まで実際に歩いてみる
事前に避難方法・子ども向けの災害時リュックの中身・事前に話し合っておくことで
いざというときに慌てることなく行動へ移せます。
もしものときに備えて地震対策の参考にし、大事な家族を守りましょう。