SNSやテレビ番組で度々目にする「デカ盛り」や「メガ盛り」。
その圧倒的なボリュームと詰め込まれた食材の高さに、目を丸くしたのは私だけではないはずです。
デカ盛りがなぜ現代で話題になっているのか気になりますよね?
本記事では、なぜデカ盛りが流行ったのか?大食いメニュー流行の理由と、その歴史や文化を詳しくまとめました。
さらに、原価率を上げて赤字にならないのか?疑問になるところです。飲食店が「デカ盛」を続ける理由・続けられる理由もあわせて紹介しています。
読み終わった頃には「デカ盛り」や「メガ盛り」など、大盛メニューの人気の理由や、現代の日本の食文化について、正しい知識が得られます。
そのうえで、食文化を通じて現代の日本のも浮き彫りとなっていますので、ぜひ最後までチェックしてください。
デカ盛りが流行|ブーム再来?!流行している理由4選
今、日本では「デカ盛り」や「メガ盛り」が流行るなど、大盛りブームが到来中です。
なぜ流行ったのか?理由を4選にしぼって詳しく解説していきます。
- 満足度が高くリピートに繋がる
- 20代前後で大盛りシェアが流行
- SNSにより「映え写真」の拡散
- 大食い系動画でスカッとできる
では、ひとつずつ解説していきます。
①満足度が高くリピートに繋がる
1つめの理由として、あえて原価率の高いメニューを考案することにより、お客さんの満足度を高めリピートに繋げています。
例えば、ほたてやいくらなどの原価率の高いネタが、ふんだんに使われているメニューを見たらどう思いますか?「この価格でほたてがこんなに!?これはお得!」と、注文してみようと思いますよね。
店舗オリジナルのデカ盛りメニューとして売り出すことでプレミア感もだせますし、購買意欲も掻き立てられます。
また、「デカ盛り」メニューを提供している店舗は、価格設定も低くしていることも多いため、リピート客がつきやすいことも1つの理由です。
②20代前後で大盛りシェアが流行
2つめの理由は、10~20代前後の若者により大盛りシェアが流行している点です。
大人数で集まるホームパーティーでは、SNSでもバズった『ナチョステーブル』が先駆け。
ナチョステーブルとは、アルミホイルを引いたテーブル上にお菓子のドンタコスなどのトルティーヤチップスを敷き詰め、その上に豪快にチーズやひき肉など、好きな具材を散らして食べるというものです。
文字通りの『ナチョステーブル』は、インパクト抜群ですね。
さらに、コロナ禍より、加速したダイエット志向。
今は、体形を気にする若者が増えてきており、友人と外食する際には、あえて「大盛」を頼んでシェアする人が多いそうです。お会計も割り勘で済むので、コスパ抜群ですね。
また、ダイエット中のチートデイでは、「デカ盛り」や「メガ盛り」メニューを多く頼み、友人とシェアして楽しめます。
女性に人気の巨大スイーツは、日々のダイエットのストレス発散に最適で、チートデイのメニューにも人気です。
③SNSにより「映え」写真の拡散
3つめの理由として、SNSの普及により、簡単に情報を不特定多数の人に共有できることがあげられます。
とくに、Instagramが普及し始めてからは、いわゆる「映え」写真の投稿が流行。「映え」写真というのは、写真の撮り方や加工により、見応えのある写真や、見栄えが良い写真のことを差しています。
たとえば、綺麗な虹や夕暮れも「SNS映えするような写真」であり、珍しいラーメンメニューやデカ盛りなどのインパクトの強い料理も「SNS映えするような写真」に当てはまります。
要するに、インパクト性の強い画像や、イベント性の強い画像を載せている人が多いのです。
「デカ盛り」は、インパクト性もイベント性も強いテーマになります。インパクトがある見た目を楽しんだあとに、完食するというイベントを二重で楽しめますし、完食したことを投稿することにより承認欲求も満たされます。
結果として、デカ盛りはSNSで数多く拡散され、人気ワードとなりました。
④大食い系動画でスカッとできる
4つめの理由として
- ストレスを解消するために食べたい
- 食べたら太るから食べられない
- 大食い系動画を見て食べたい欲を発散!
という流れで、「自分が食べた気分になる」という人が増えており、YouTubeの大食い動画の需要が一気に高まりつつあるんです。
女性の多くは「綺麗になりたい!」と、体型を保つために、食事を制限したり、運動したりしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、ここ数年コロナ禍により、外出禁止での運動不足や娯楽の減少、さらに外食にも制限があるなど、ストレスが堪ってしまう時期だったと言えるでしょう。
また、「ASMR動画」として大食い動画が出されている場合もあり、咀嚼音による「安眠効果」や「リラックス効果」を得られます。
結果として、ストレス発散×リラックス効果の相乗効果が相まって、人気を生んだのではないでしょうか。
デカ盛りの文化|始まりは江戸時代
ではなぜデカ盛りが生まれたのでしょうか?
デカ盛りは江戸時代からあり、有名なTV番組「テレビチャンピオン」は、江戸時代の「大食いの会」から始まっているのです。
- 始まりは江戸時代の「大食の会」
- 現代の始まりはマクドナルドの「ビッグマック」
それぞれ、時代ごとによるデカ盛りの発祥をご紹介していきます。
始まりは江戸時代の「大食の会」
1817年に、「大食の会」という大食い競争の大会が開かれました。そこから名前も変わり、1989年には「大食い選手権」として、「テレビチャンピオン」にて放送されます。
この大食い選手権は人気のコーナーとなり、他の番組でも大食いネタを取り扱ったりと、「大食い」という言葉が世の中に浸透しました。現代でも「フードファイター」や「大食い王」といった、大食いに纏わる言葉が次々に生み出されています。
現代の始まりはマクドナルドの「ビッグマック」
2007年ころ、マクドナルドで衝撃のメニューが生み出されたのです。
通常のハンバーガーメニューのパテは基本的に1枚、大きいもので2枚が普通でした。しかし、通常よりも大きく4枚のパテで巨大化させた「ビッグマック」が発売され、爆発的な人気を得ます。
「ビッグマック」の話題性は凄まじく、「メガ盛り牛丼」や「デカ盛りカップラーメン」が便乗して発売されました。
デカ盛りの歴史|時代によって違う食文化の変化
上記で紹介した「デカ盛りの文化」から、令和までどのよう変化を経て今の「デカ盛り」になったのでしょう。
- 昭和|量の多いデカ盛りがそこら中にあった
- 平成|肉などの洋食が増え米の量が減る
- 令和|量より質を求めるデカ盛りが完成
ここからさらに深掘りして、時代ごとの「デカ盛り」の特徴を解説していきます。
昭和|量の多いデカ盛りがそこら中にあった
昭和時代の1960年頃から、洋食が日本でも食べられるようになります。その頃から、日本でも肉が多く流通するようになるのです。
それにより、この時期は「ハンバーグ」「カレー」などが流行し、銀の丸いお皿いっぱいに、デカ盛りのカレーを販売しているお店が多々ありました。
この時代のデカ盛りは、全体的にボリュームが多く満足度も高いことが特徴です。
また、昭和の店舗で今でも残っているお店がまだあり、「世界仰天ニュース」という番組で、『ジャンボお好み焼き みゆき』というお店が紹介されました。このお店は、創業57年を迎える老舗であり、80歳の女将が一人で切り盛りしています。
名物の「みゆきモダン 大」は、焼きそば2玉にキャベツと豚肉をドカ盛り、これでもかという程の天かすと紅ショウガをかけ、出来上がったのは総重量2.5キロに及ぶ巨大お好み焼きでした。
さらに驚きなのは、25年前から価格を変えず、このボリュームを850円で販売しているということです。
平成|肉などの洋食が増え米の量が減る
平成に入った頃には、米の消費量は1955年に比べて、半分近くまで減少してしまいます。手軽に食べられる、ファストフードが人気になったことも1つの理由です。
もう1つの理由として、洋食化が昭和からさらに進み、朝食や昼食を手軽に食べられる、パンで済ませる人が多くなってきたからです。
米の量が減った背景もあるからか、この頃はカツを高く敷き詰めたりなどと、おかずで高さを出してインパクトを持たせるデカ盛りが多く、見た目でも楽しめる特徴があります。
令和|量より質を求めるデカ盛りが完成
令和になると、今度は量より質を求めるようになりました。
令和でデカ盛りの火付け役となった、テレビ番組の「オモウマい店」では、さまざまな「オモてなしすぎてオモしろいウマい店」を紹介しています。
まるでウェディングケーキのような盛り方!三段になっている「スタミナ丼(Wチョモ)」
チョコレートファウンテンのような「天にそびえる鶏唐ジャージャーとろチーズ飯」
そのインパクトは一目見たら忘れられないでしょう。
このように、量に加えてインパクト性も強いデカ盛りメニューが増えてきました。
そのため、今までのように「全体的にボリュームUP」「おかずUP」ではなく、「原価率UP」しているのが、令和版デカ盛りメニューの特徴となっています。
デカ盛りは赤字|利益なし?!飲食店が続ける理由とは
デカ盛りは正直赤字だと言われています。では、なぜ飲食店の多くは、赤字でもデカ盛りメニューの発売をやめないのでしょうか?
- デカ盛りの原価率は【100%】で利益はほぼなし
- SNSの普及により拡散されると広告宣伝費が削減
- 喜んでくれているお客さんのために営業努力で継続
では、飲食店がデカ盛りメニューの提供を続ける理由を1つずつご紹介していきます。
デカ盛りの原価率は【100%】で利益はほぼなし
デカ盛りのメニューは、原価率100%とも言われています。
もちろん、メニューによって違うので一概には言えませんが、原価率が高いのは一目瞭然です。
利益は薄利、もしくはほぼなしとなっています。
店舗によっては、サイドメニューやドリンクの単価を上げて、採算を取っている店もあります。
SNSの普及により拡散されると広告宣伝費が削減
しかし、メリットとして、メニューが当たればSNSで拡散され、より多くのお客さんが来店してくれることを期待できるんです。
宣伝はお客さんがSNSで行ってくれるため、広告宣伝費が削減できます。さらに人気が加速すると、ニュースで取り上げられたりYahoo!ニュースで書かれたりもするので、爆発的な人気を得るでしょう。
しかし失敗すると原価割れにより赤字、さらに広告宣伝費が上乗せという結果になってしまうので、デカ盛りメニューの提供にはリスクがあります。
喜んでくれているお客さんのために営業努力で継続
なぜ赤字割れの可能性があっても、デカ盛りメニューを提供し続けるのか?
デカ盛りメニューを提供し続ける飲食店の店主の多くは、「お客さんが喜ぶから」と口を揃えて言います。
「今後の社会を担う学生のため」「ストレス社会の中、嫌なことがあってもお腹いっぱいになったら幸せ」と、その理由は利益よりもお客さんのためでした。
しかし、価格高騰で大ダメージを受けているのは、もちろん飲食店もです。デカ盛りを続けられているのは、人件費を抑えたり飲食店の自己犠牲だったりと、マイナスの背景によって成り立っています。
筆者は、デカ盛りメニューがあるお店へ遊びに行く機会があった時は、「サイドメニューやドリンクも一緒に頼んで応援したい」という想いでいっぱいです。
まとめ|InstagramやYouTuberがデカ盛りを社会現象とさせた
結論として、デカ盛りが流行した理由は、SNSの普及により情報が不特定多数へ拡散されやすくなったことです。
くわえて、コロナ禍によるストレスの反動もありで、過食をおさえるために動画で欲求を満たしてストレス発散する人が増大。そのため、大食い系YouTuberの人気が鰻登りになるなど、デカ盛りの需要が高まったわけです。
しかし、SNSで拡散されることは、良いことばかりではありません。自身の承認欲求を見たそうと、デカ盛りを注文するだけ注文して食べない人や、残す人も多く見られます。デカ盛りを楽しむことはいいのですが、食べ物への感謝の気持を忘れないように、自分が食べられる分だけ注文しましょう!